①簿記1級ってどうやって勉強をしたらいいの?
勉強方法が分からない。
②合格できる勉強法やコツを教えて欲しい。
このような疑問をお持ちの方にお答えします。
下記にて簿記1級に合格できる勉強法を紹介しますので参考にしてください。
簿記1級の勉強方法
簿記1級合格の勉強方法とコツ
簿記1級は簿記2級、3級とは違って試験は相対評価となり、また科目別に合格基準が設けられています。
相対評価?
簿記2級や3級は絶対評価で70点を取ることができれば合格なのに対して、簿記1級には合格基準には記載はありませんが、相対評価という評価で採点されています。
分かりづらいので例を見てみましょう。
絶対評価の例
問題 | 配点 | Aさん | Bさん | ||
問1 | 5点 | 正解 | 5点 | 正解 | 5点 |
問2 | 5点 | 不正解 | 0点 | 正解 | 5点 |
問3 | 5点 | 正解 | 5点 | 不正解 | 0点 |
10点 | 10点 |
Aさんは2問正解で10点となっています。
また、Bさんも2問正解で10点となっています。
両者ともに2問正解で10点で、例えば他の問題で60点だとすると、この10点を加えることでAさん、Bさんともに70点となりどちらも合格となります。
当たり前の話で何を言っているんだ?と思っている方もいらっしゃるでしょう。
しかしですね、簿記1級の相対評価になると話は違ってきます。
どんな風に違ってくるのか?次の例で見てみましょう。
相対評価の例
相対評価は受験生の試験の出来によって配点が調整されます。
受験生があまりできなかった問題をB、そうでない問題をAとしましょう。
問題 | 難易度 | 配点 | Aさん | Bさん | ||
問1 | A | 6点 | 正解 | 6点 | 正解 | 6点 |
問2 | A | 6点 | 不正解 | 0点 | 正解 | 6点 |
問3 | B | 3点 | 正解 | 3点 | 不正解 | 0点 |
9点 | 12点 |
問3の問題の難易度が高くほとんどの受験生ができなかったため、もともとの配点は5点だったのが3点となり、他の問題の問1と問2にそれぞれ1点加算される「得点調整」がされました。
先ほどの絶対評価と相対評価ではできた問題数やもともとの配点は同じだったのに、最後の点数が違っていることに気付きましたか?
先ほどはAさん、Bさんともに10点でしたが、得点調整されたことでAさんは9点に、Bさんは12点になっています。
Aさんは誰も解けない問題が解けて本当はすごいんですが、みんなが解ける問2を落としています。
一方Bさんはどうかというとみんなが解ける問1と問2を解き、問3に対しては全く解けませんでした。
しかし、これがさきほどと同じように他の問題で60点とすると、Bさんのみ合格となります。
このような得点調整は難易度の高い日商簿記1級では実際にあり、誰も解けないような問題に成ってしまった場合、合格者があまりにいないとまずいので、得点調整をすることで合格者数を調整していることになります。
独学者の方は特に聞いて欲しいのですが、このような絶対評価と相対評価の違いは何を意味しているのかということを知らなければなりません。
受験生なら解けるであろう問題は確実に解けるようにしなければならないが、誰も解けないような難しい問題は解けなくても合否に影響をしないということです。
それでは「受験生なら解けるであろう問題」と「誰も解けない難しい問題」とはどのような問題なのでしょうか?
最も分かりやすいのはテキストに掲載されている重要度の高い問題は学校でも丁寧に教えたり、ミニテストや答練などにも受験生にどうしても解いて欲しいという願いからこのような重要度の高い問題を繰り返し出題する傾向にあります。
また、このように重要度というのは過去の出題実績から判断されることが大部分を占めています。
しかし、実はこれだけではありません。
大手専門学校が難関資格に強く、独学者のほとんどが合格できない理由がここにあります。
大手専門学校で勉強をした内容はその学校の生徒なら本番で似たような問題が出題された場合解けることが多いです。
そうするとみんなが解けるということで、相対評価だとこの問題はAということになります。
例えば学校が次はこのような問題が出題されると予想し、生徒みんなが一生懸命その問題を解けるようにすると、独学者はそのような情報を知らないのでかなり不利になります。
持っている教材では重要度はそれほど高くないからとあまり勉強をしていないにも関わらず、実際はみんなが解けたということで普通に配点されることになります。
逆に大手専門学校がこの問題は年々重要度が下がっているし、やらなくてもいいといって受講生がやらずにいて本試験出題された場合はみんなが解けないので配点が少なくなるように調整されます。
このようにみんなが解ける問題とそうでない問題というのは大手専門学校が多少コントロールしているところがあり、独学者が不利となる1つの要因を作っています。
SNSなどを見ると自己採点をしたときは合格はありえないという方でも、戻ってきた実際の点数は異なっており、得点調整されていることを実感するときがあります。
そうすると、簿記1級に合格するためには大手専門学校を使わなければならないのか?と思うかもしれませんが、必ずも学校を利用しなければならないというわけではありません。
実際簿記1級は独学で合格することができる試験でもあり、当サイトでも独学におすすめのテキストを紹介しています。
・簿記1級におすすめのテキストはこちら
⇒【独学で受かりたい人必見】日商簿記1級のおすすめテキスト
ただ、簿記1級に合格するためには大原等が行っている模試は必ず受けるようにしましょう。
このような模試は他校生であっても受けることができる全国的な模試であり、そうすると解くべき問題といったものが成績表を見ることで分かります。
模試はその学校の予想した問題が凝縮されたエッセンスでもあり、受けることで得られるメリットはかなり多くなります。
以上から簿記1級に合格するための勉強方法として「相対評価」について見てきて何が分かりましたか?
それをまとめてみると・・
みんなが解ける問題は必ず解けるようにする。
→重要度の高い問題はどれかを判断するのは学校が圧倒的に有利だが、模試等を使ってみんなが解ける問題とそうでない問題を肌で実感する。
簿記1級は範囲が広いため全範囲を終わらすまでに相当の時間を費やすことになります。
重要度の高い問題を重点的に取り扱い、確実に解く事ができる論点を1つずつ増やしていくことをおすすめします。
それでは次は「合格基準」について見てみましょう。
合格基準
簿記1級は全部で4科目あります。
科目 | 配点 |
商業簿記 | 25点 |
会計学 | 25点 |
工業簿記 | 25点 |
原価計算 | 25点 |
合計 | 100点 |
日商簿記1級の配点は上記のようになっており、100点満点で70点以上で合格となります。
しかし、この4科目にはそれぞれ合格基準というものが設定してあり、4科目のうち1科目でも合格基準点を下回ってしまうと不合格となってしまうことには注意をしなければなりません。
各科目の難易度から合格するために合計で70点以上取るための点数と不合格になってしまう例を見てみましょう。
す。
科目 | 配点 | 合格基準 | 例1 |
商業簿記 | 25点 | 10点 | 22点 |
会計学 | 25点 | 10点 | 22点 |
工業簿記 | 25点 | 10点 | 18点 |
原価計算 | 25点 | 10点 | 8点 |
合計 | 100点 | 70点 | 70点 |
合格基準は総合で70点(70%以上)、各科目で10点(40%以上)です。
簿記1級の場合は科目別に合格基準があるため、例1の点数では総合で合格基準点以上となって合格ですが、原価計算は8点となっていて合格基準の10点を下回っているので不合格となってしまいます。
簿記1級の場合は上記の例1のようなことは時々みかけることになります。
このように日商簿記1級は2級、3級にはなかった各科目に合格基準点があるので注意をしなければなりません。
それでは次は科目別の勉強方法を見ていきましょう。
科目別勉強方法とコツ
商業簿記・会計学の勉強方法
商業簿記
商業簿記は勉強をすればするほど得点に反映させることができる科目なため日商簿記1級に合格するためにはこの科目で80%以上の20点以上は欲しいところです。
合格者を見ていても商業簿記で20点を切る人は少ないことから何をおいても商業簿記で20点以上を「安定して得点できる実力」が必要となります。
会計学
計算が得意でも理論が苦手な方もいらっしゃいますが、工業簿記・原価計算で多くの点数は期待できないため、合格するためには会計学でも商業簿記程度の点数が必要となります。
そうすると、商業簿記、会計学で50点のうち80%以上の40点は取っておきたいところです。
また、40点以上取ることができるような勉強が必要といっていいでしょう。
工業簿記・原価計算の勉強方法
足切りの可能性が高い科目
簿記1級では原価計算で点数が取れない方が多く、合格点を取っていても不合格となることは先ほどもお話をしましたが、そのためにも原価計算科目の攻略(最悪足切りにならない程度)が必要不可欠といっていいでしょう。
ただ、原価計算ではなく工業簿記の方が難しくて得点できないということもあるので、原価計算に力を入れすぎずに工業簿記、原価計算両方とも基本的な問題は解けるようにしておかなければなりません。
特にこの2科目については最初の答えを間違えてしまうと総崩れとなって最悪全滅ということになることも珍しくないので基本的な問題は間違わずに解く事ができるようにしなければなりません。
ミスは許されないということですので、普段の練習においてもミス等が0になるようにし、ミスが多い人はどのようなミスをしているのかを検証し、ミスをなくす努力をしましょう。
工業簿記、原価計算が難しい
工業簿記、原価計算が難しくて問題が解けない理由の1つにテキストと本試験のレベルの差がありすぎて手の付け所が分からないという方は少なくありません。
テキスト⇔付随する問題集→実践的問題集→過去問
このように本試験レベルの間にいくつかステップアップをするような問題を入れることで、テキストで学んだ知識を問題が難しくなっても使えるようにしておくといいでしょう。
テキストや付随するレベルのみだと理解していなくても解けたりしますが、他の問題を解く事で新しい知識を得ることができたり、解き方を知ることができる場合があります。
本試験問題も基本的な問題という骨格があり、そこに肉付けをすることで見た目を難しくしており、慣れないとどこの資料をどう使っていいのか判断に困ったり、時間がかかってしまうでしょう。
しかし、これは本当の理解ができていない証拠でもあり、本当に理解をしているとどの資料をどう使うべきなのか瞬時に判断をすることができます。
また、その判断の中で使ってはいけない資料というのも分かるので、「あ、これはひっかけようの資料だ」と気付くことができます。
過去問という本試験レベルと向き合うことで実力というものが開花してきますがそのためには苦しい時期があり、また、それを乗り越えなければ成らない辛さといったものがあるでしょう。
しかし、それにも負けないで向き合い続けることと工業簿記、原価計算は合格基準点の10点どころかそれ以上取ることができるようになっているでしょう。
点数がなかなか伸びないというのもこの科目の難しいところですが、本試験レベルと真剣に向き合うことで60点中30点は安定してクリアできるようになっているのではないでしょうか。
もしかすると60点中40点をクリアしているかもしれません。
以上の目標点をまとめると下記表になります。
目標点
科目 | 配点 | 合格基準 | 目標 |
商業簿記 | 25点 | 10点 | 20点 |
会計学 | 25点 | 10点 | 20点 |
工業簿記 | 25点 | 10点 | 20点 |
原価計算 | 25点 | 10点 | 10点 |
合計 | 100点 | 70点 | 70点 |
商業簿記、会計学で60点中40点
工業簿記、原価計算で60点中30点
このくらいの点数が日商簿記1級合格の最低ラインとなるでしょう。
※工業簿記、原価計算については難易度によっては目標点が入れ替わることがあります。
簿記1級 まとめ
以上、簿記1級に合格できる勉強方法の”コツ”について紹介をしましたがいかがだったでしょうか?
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