①司法書士試験ってマークシート方式なの?論文はあるの?
②試験には基準点があるって聞いたけど基準点って何?
このような悩み・疑問をお持ちの方にお答えします。
①司法書士試験はマークシート方式と論文問題のように論じるようなものではなく、登記申請書といったものを作る問題となっています。
②基準点とは合格ラインのようなものでその点数を超えることができないと不合格になってしまい、司法書士試験には4つの基準点があります。
司法書士試験と基準点
司法書士試験に合格するためにはご存知かと思いますが、”4つ”の基準点を超えなくてはなりません。
ご存知のない方やこれから受験を考えている方も分かるように詳しく説明します。
司法書士試験の制度
司法書士試験は大きく2つの試験から成り立っています。
1.多肢択一式と言われる「マークシート」
2.記述式と言われる「書式」
多肢択一式
このタイプの問題は・・たとえば・・
「登記を( )業務としている(① )という資格がある。
この(① )試験は大きく2つの試験から成りなっており、(② )と呼ばれるマークシート方式があり、もう1つは(③ )と呼ばれる書式問題となっています。
受験生が最も苦労するのが(③ )の試験であり、これは( )という科目と( )という科目があります。」
・上記のような文章があって空欄があり、その空欄のうち①②③という番号がふってあります。
空欄があっても番号がないものもあり、そこは推測しなければならず正確な記憶が要求されます。
上記は①②③と迷うことはありませんが、実際の問題はどれに何が入るのか迷う問題も少なくありません。
選択肢は5つあり、
1.①不動産鑑定士、②多肢択一、③記述式
2.①司法書士、②記述式、③選択式
3.①行政書士、②多肢択一、③選択式
4.①司法書士、②多肢択一、③記述式
5.①不動産鑑定士、②記述式、③多肢択一
この1~5の中から正しいものを選ぶ形になります。
または、
ア~オまでの5つの文章があり、その中に正しい文章が2つありそれを選ぶもの。
ア.司法書士の試験科目には「民法」がある。
イ.司法書士の試験科目には「不動産に関する行政法規」がある。
ウ.司法書士の試験科目には「行政法」がある。
エ.司法書士の試験科目には「不動産登記法」がある。
オ.司法書士の試験科目には「不動産の鑑定評価に関する理論」がある。
1アウ
2アエ
3イウ
4イオ
5エオ
アとエが正しい文章なので2が正解となります。
これとは逆に誤った文章があり誤ったものを選ぶ問題もあります。
この問題が司法書士試験の多肢択一で最も多く出題される問題となり、それ以外は1問ずつくらいと思っていただいていいでしょう。
ア~オの5つの中で誤ったものが何個あるのか個数を答えるものや、5つの中で1つだけ正しい文章がありそれを選ぶといったものがあります。
多肢択一は確実な知識が大切
5つの選択肢から選ぶので消去法によって選ぶことができるので、例えば先ほどの問題だと、アの民法は正しいことを知っていると、1アウ、2アエの2択まで絞ることができます。
そして、ウの行政法は明らかに間違いだと知っていると2アエが正解だと結論付けることができます。
2つの肢が確実に分かっていると正答することができますが、仮にその1つの肢が確実でないと絞る時点で間違いになってしまいます。
このように中途半端な多い知識よりもこれは○だ!×だ!と正確な知識の方が大切なことが分かります。
記述式
記述?論文?と思って敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが安心してください。
司法書士の記述式問題とは「登記の申請書」を作成することを指します。
問題は、いくつかの事実関係や補足資料があり、そこから問題が与えられますのでそれに答える形になります。
登記の申請書には、例えば「登記の目的」「申請事項等」を書いたり、資料からどのような「添付書類」が必要なのか?登録免許税額などがあり、全てが1つとなった総合問題です。
記述式の問題は択一式の科目の応用的な問題となっていますので、かなり難しいと思ってもいいでしょう。
このように司法書士試験には2通りの試験形式があることがお分かりいただけたかと思います。
科目
司法書士試験は1日で全ての試験を行うため、試験の間に昼休憩があります。
そのため試験は・・「午前の部」「午後の部」に分けて実施されます。
科目が太字のものは司法書士試験の中でもメイン科目と呼ばれているもので、このメイン科目(4科目)で80%以上を占めます。
午前の部
9:30~11:30
試験形式:多肢択一式
試験科目:憲法、民法、刑法、商法(会社法)
→全部で4科目
午後の部
13:00~16:00
試験形式:多肢択一式
試験科目:不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法、司法書士法
→全部で7科目
さらに・・
試験形式:記述式
試験科目:不動産登記法、商業登記法
このように午後の部は択一式にプラスして記述式もあり、3時間の中で記述問題2問を解かないといけないのでスピードが要求されることになります。
さて、司法書士試験の試験制度が分かったところで、司法書士試験で絶対に知っておかなければならない『基準点』について見てみましょう。
司法書士試験の”4つ”の基準点
司法書士試験には4つの基準点が設けられています。
「基準点?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが分かるように説明をするので安心してください。
司法書士試験には上記で説明をしたような試験が実施されます。
もう一度おさらいをしてみましょう。
午前の部の「多肢択一式」・・105点満点
午後の部の「多肢択一式」・・105点満点
午後の部の「記述式」・・・・70点満点
このように3つの試験があり、横に点数もつけてみました。
そして、この3つの試験には「それぞれ基準点」といった合格ラインが設けられており、3つの試験のうち1つでも基準点を下回ってしまうと司法書士試験は不合格となってしまいます。
→言い換えれば3つの試験全て基準点を超えていなければ不合格ということです。
例えば・・2018年の基準点を例に見てみましょう。
2018年の基準点
2018年度の3つの基準点
午前の部の「多肢択一式」 105点満点中基準点は78点
午後の部の「多肢択一式」 105点満点中基準点は72点
午後の部の「記述式」 70点満点中基準点は37点
これら3つの試験全ての基準点を超える必要があります。
※1つの試験で基準点を超えたからといって合格制度のようなものはなく、来年全て受験をしなおす必要があります。
4つ目の基準点
3つの試験で基準点を超えていてもそれで合格になるわけではなく、司法書士試験にはもう1つ基準点があり、それが4つ目の基準点であり「総合」の基準点が設けられています。
2018年の総合点 280点満点中基準点は212.5点
例えば、2018年の3つの試験の基準点をぎりぎりクリアした場合、その合計点は187点となり、総合の基準点より25.5点不足しています。
つまり、3つの試験の基準点を超えただけではダメで、総合でも基準点を超える必要があります。
このように3つの試験の基準点を超えて、なおかつ総合点の基準点を超える必要があるため、多肢択一式で基準点よりさらに点数を積み重ねるのか?それとも難易度の高い記述式でもう少し点を取るのかといった戦略も練らなくてはなりません。
正確には7月の筆記試験に合格をし、10月の口述試験合格を経て司法書士試験合格者となりますが、口述試験はほとんどの方が合格することができるので、7月の試験に合格することができればほぼ司法書士試験合格者といってもいいでしょう。
基準点について見ていただきましたが、この基準点は固定のものではなく毎回変動することになります。
過去の基準点が気になる方もいらっしゃいますので下記をご覧ください。
過去5年間の基準点となります。
司法書士試験 基準点の推移
午前多肢択一 | 午後多肢択一 | 午後記述 | 総合 | |
満点 | 105点 | 105点 | 70.0点 | 280.0点 |
2014年 | 78点(74%) | 72点(69%) | 37.5点 | 207.0点 |
2015年 | 90点(86%) | 72点(69%) | 36.5点 | 218.0点 |
2016年 | 75点(71%) | 72点(69%) | 30.5点 | 200.5点 |
2017年 | 75点(71%) | 72点(69%) | 34.0点 | 207.0点 |
2018年 | 78点(74%) | 72点(69%) | 37.0点 | 212.5点 |
基準点の考え方としては、記述式の問題は難しいため基準点を超えるのがやっとになることが多く、また本試験では予想もしない問題も出題されるため基準点を大きく超える点数を取るのはかなり難しいといってもいいかもしれません。
記述式は不確定要素の高い問題、計算して点数が取れるような試験ではないということです。
長い間司法書士試験を勉強している方はこの記述式の点数が良くない方が多い傾向にあります。
もちろん記述式でいい点数をとっても多肢択一式で基準点を割ってしまっては元も子もありませんが・・。
択一式の基準点を考える
ここで多肢択一式の基準点というのを改めて考える方がいいでしょう。
2018年を例に考えてみましょう。
総合の基準点は212.5点でした。
↓
記述式は基準点を超えるのさえ難しいので基準点37点をがんばってとる。
↓
残りの点数を多肢択一式で取るという戦略になります。
多肢択一式は・・
午前35問×3点=105点、午後35問×3点=105点となっており、多肢択一で総合の基準点を超えるためには以下の点数が1つの目安となります。
午前 30/35問=90/105点
午後 29/35問=87/105点
→多肢択一式では70問中59問の正答が必要となり、正答率は84%となります。
つまり、短期合格を目指す場合は決められている基準点を目標にするのではなく、この84%を目指す勉強をしなくてはいけません。
もちろん受験年度によって必要な正答率は変わってきますが、各試験に定められた基準点より10%程度上の点数が必要になりそれを常に心がけて勉強をする必要があります。
合格するために大事なこと
記述式で合格点を超えろ!
4つの基準点を見ていただきましたが、司法書士試験に合格するために最も大事なことは「記述式」で基準点を超えることです。
何年も勉強をしている方で合格できない大きな理由は「記述式で基準点を超えることができなかった」ということです。
総合点では基準点を上回っているものの記述式で基準点を超えることができないという方が非常に多く、特に過年度生に多いです。
また、このタイプは答練・模試の成績はいいという傾向にあります。
これは本試験といったものはきれいな問題ではなく、言い方は失礼ですが読み解くのが難しく受験生目線で作られていない少し不親切な問題になっている所が多少あります。
一方、専門学校の講師は受験のプロなのでどこが論点なのかをはっきり知っており、答練・模試では受験生にその論点の理解ができているのかを問う問題となっており、問題に意図が明確に入っている点が本試験と大きく違うところになります。
もちろん本試験の問題作成者もそういったことは熟知はしているものの専門家が作成するので講師とは若干タイプが異なっています。
初年度生や2回目程度の受験生とは違って3回目以上の過年度生は学校慣れをしているところがあるため、学校の模試等では上位の成績が取りやすい方もいらっしゃいます。
そのためこのタイプの方は、たとえば伊藤塾に通っているのであれば違う専門学校であるLECの模試を利用してみるといいでしょう。
学校の問題に対応できる力を持っているので、方向性をかえて勉強をすれば次の年は必ず合格する力をもっているタイプでもあります。
司法書士 まとめ
以上、司法書士試験の基準点について紹介をしましたがいかがだったでしょうか?
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